愛玩動物看護師の「離職防止」と「定着率」の鍵とは?動物病院の組織マネジメントに関する修士論文を公開しました

組織・労務

こんにちは!
動物病院サポーターズPERE代表の中村です。

普段、動物病院の経営やコンサルティングに関わる中で、院長先生方から「愛玩動物看護師の採用が難しい」「スタッフが定着しない」といったお悩みをよく伺います。この「慢性的な人手不足」や「定着率の低下」は、現在の獣医療業界全体が抱える構造的な課題と言えます。

この度、こうした動物病院の組織マネジメントの課題を学術的な視点から深掘りするため、東洋大学大学院(経営学研究科)にて執筆していた修士論文が完成いたしました。 タイトルは「日本の獣医療施設における動物看護師の職業継続意志に影響する職務満足の要因」です。お忙しい中、調査にご協力いただいた全国の動物病院の皆様に、心より感謝申し上げます。

■ 離職防止の鍵は「給与」よりも「院長・獣医師のマネジメント」

国家資格化によりチーム医療の高度化が進む中、スタッフに長く働き続けてもらうには何が必要なのでしょうか。

全国の動物看護師を対象とした定量調査と統計分析の結果、非常に興味深いデータが見えてきました。それは、動物看護師の定着率に最も強いプラスの影響を与えていたのは、「給与」や「労働環境」ではなく、「上司・獣医師からの支援」だったということです。

もちろん待遇面も大切ですが、データが示す真の離職防止策は、院長先生や獣医師からの「日々の労いの言葉」や「明確な指示と教育的なサポート」、そして「トラブル時にスタッフを守る姿勢」でした。このような信頼関係に基づく心理的安全性の醸成こそが、スタッフの育成や組織づくりの根幹であることが実証されました。 同時に、患者の回復をともに喜ぶような仕事のやりがいや、ワークライフバランスを保てる職場環境改善も、長く働き続けるために不可欠であることが確認されています。

■ エビデンスを動物病院の組織づくりに活かす

小規模な組織が多い動物病院だからこそ、院長先生の日常的なマネジメントやコミュニケーションが、スタッフの定着に直結します。 これまで現場の感覚や経験則で語られがちだった「組織づくり」について、こうした学術的なエビデンス(根拠)を持つことは、今後の動物病院経営において非常に重要だと考えています。

論文の全編は、以下のリンクからPDFでご覧いただけます。 自院の人材定着やマネジメントにご関心のある院長先生方にとって、明日からのスタッフとの関わり方のヒントになれば嬉しく思います。

▼ 修士論文の全文はこちら(PDF)

これからも、動物病院のより良い組織づくりと獣医療の発展に少しでも貢献できるよう、実践と探求を続けてまいります。ぜひご一読いただき、ご意見やご感想をいただけますと幸いです。